成功者インタビュー

成功する秘訣がつまった農業人の本音トーク

第3話 保管用冷蔵庫で品質アップ。B級品もどんどん売れる。

たつやのニンジン 箱詰め

真弓:ちょうど人参の注文が増えても対応できるように、機械化をしていったという状況も タイミングが良かったです。オイシックスの授賞式の懇親会で、商品管理の方から 「消費者の所にきれいな状態で到着しますもんねえ、喜ばれます」って褒められました。 確かにそういうのとか、日持ちするのも喜ばれてるのかも。

森田:日持ちするのは、管理がいい証拠。収穫後、すぐに冷蔵庫に入れて収穫熱をとるだけで、 随分と持ちがよくなるんです。なんといっても食品製造業の品質基準で作った工場だから。 真弓さんが「真冬でも人参を冷やさなきゃいけないの?」とか文句言いながらでも 僕の言う通りにやってくれたでしょ。それがつながってるんですね、お客さんの信頼に。

真弓:そうそう、それはありますよね、確かに、

森田:これだけのものを農家さんにやれって言ったら、まず最初から「いいえ」ですよ。 でも僕は前に、食品業界で仕事しているから知ってるんです。冷凍食品の衛生基準は、 ものすごい厳しいからね、もう半端じゃない。でもそれを今冷凍食品工場はクリアしてるから、 1年に一回くらいしかクレームは起こらないという話です。

真弓:やっぱり、これからの農業は食品加工の業界と一緒なんだよね。

森田:温度と湿度管理ができる冷蔵庫で保存するようになって、作業内容がどんどん変わっていってますよね。 1ヶ月とか2ヶ月とか余裕で鮮度を維持できるから、天気がよかったら掘れるものは掘っていまえばいいわけ。

真弓:それまでは、できた作物はそのつど出荷してお金に換えていたから、売る分だけ人参を掘っていたし、 生産性も低かったんです。森田さんから言われても、自分の発想を切り替えるのに1年半くらいかかりました。

森田:真弓さんも職人気質で頑固だから(笑)

真弓:喧嘩になるんですよ(笑)。結局は、説き伏せられるけど(笑)

森田:今でもそうなんですよ、僕は新しい発想で話すので、最初はえっという話になる。それでいつもバトル。

真弓:最近は、だいぶなくなりました(笑)

森田:この水準まで来たらあと一歩なんですよ。二人で約束したのは、年商1億。その目標で 設備を造ったんだから。まあでも予測より販売量が多くなったから、在庫に回せないという状況。 30坪の冷蔵庫が必要だったね。

真弓:そうそう。1ヶ月ももたないんですよ。

森田:だってね、貯蔵すると、よそは無くても、ここにはあるからわぁーって注文が来るでしょ、 しかも美味しい。それで売り上げが伸びた。真弓さんはこれまでの仕事を変革させなきゃいけないから、 一時期はパニックになったけど、冷蔵庫によって収穫した人参は100%ロスなく販売できるように なったというのは大きいです。

真弓:今まで捨てていた人参も買いとってもらえるわけだからね。

森田:型崩れの品は、普通の市場では受けないんだけど、真弓さんの人参はそういう品でも 味がいいから買いたいという話になって、あれもかなりの金額になるもんね。

真弓:そうそう、すごいです。

森田:採れた作物をすべてお金に換えると農家さんは儲かるんです。要するに傷物でもなんでも 1円でもいいから売れれば、農家さんにはお金が残るというのはこれまで観察していてわかったので、 それでB品を受けてもらえないかとオイシックスさんにもお願いしたんです。 半値だろうと1/3だろうと残る、純利益です。それを全部真弓さんがやってくれた。感謝です。 お互いを信じて喧嘩しながらね、真弓さんはもうクタクタよ(笑)。

真弓:クタクタですよ。ほんとに(笑)。5、6年前からかな、ガクッときました。 フル回転で雇用も多くなる、手を抜けないから身の危険を感じた(笑)。最近、去年ホームステイ先から 長男が帰ってきたり、娘の応援もあって、楽になった。ちょっと余裕が出てきたんです。

森田:それでね、今ゆったりしてるんです(笑)。

真弓:はっきり言うんだから(笑)。

森田:真弓さん、いつの間にか地元の名士になってますね。町や市や県のニュースで取り上げられて有名ですよ。

真弓:いやー、思いもかけない展開ですよ。

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